クオリティーが上がったという点と、モデルがダンスをしてしまうぐらいリラックスしたムードを考慮して20-21年秋冬のLFWの“ベストケータリング賞”は「シュプリーム」に贈りたいと思います。前述したようにバックステージの和やかな雰囲気がとても印象的だったので、そちらについてはコレクションリポートでご覧ください。
シュプリーム:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける
オーセンティックなポロカラーニットを今の空気に合わせたっぷりなフォルムで。この万能選手は、1枚でもそこはかとなく大人としての品格と余裕を生んでくれる。4本の極細糸を撚って作った糸で仕上げられたこだわりの生地は適度に肉厚で、度の詰まった生地感に上質さがにじむ。
ブランドではもはや定番となった度詰め天竺の生地をTシャツに起用。袖を通せば、肉厚感とソフトな風合いを存分に実感できる。ドロップ気味のショルダー、幅広な身頃、短めの丈が、気持ち良さとモダンな雰囲気を好バランスで演じるポイントに。

コットンのナチュラルな風合いを生かした一本は、余裕のあるワタリも相まってストレスなくはける。その気楽さは毎日でも手にとってしまうほどだ。バギーパンツがベースだが、微テーパードのシルエットやセンタークリースによって見た目は実にエレガンス。
永久不滅の定番でありもっとも身近なワークウェアのジーンズも、『スティーブアラン』の手にかかればこんなにも上品な一本に仕上がる。シュプリーム バッグ13.5オンスの生地を、’90年代によく目にしたデニムの雰囲気に寄せ、膝下からテーパードをかけることで足元はスッキリ。
『ムーンスター』への別注で仕上げた1足は、’60年代に生産されていたトレーニングシューズ「ジムクラシック」が源流。国内では数少ないヴァルカナイズ製法で作られ、各ディテールを生かしながら履き心地とシルエットを見直し現代的解釈のもと作られている。